夜の女たち(1948年・溝口健二監督)感想

戦後間もない西成、戦争で旦那を失った若い女性たちが生きる様子。貧困と暴力のなか、女性が生きるすべとして本来望んでいない夜の風俗世界に囚われていくことになる様子。

終盤、善人も出てきて「これからの女性は今までの不幸を乗り越えて強くなっていかないといけないよ」と言った話も出るが、結局またやぶれかぶれの不幸な女性がやってくる。

「目くらになって鼻を溶かして(←性病のこと)カタワの子どもを産めばいい!!」

「男いう男に病気を移して復讐してやる」

男が悪いという言葉をはっきり言う所は直情的であるが共感できた。僕は常々そう思うから。

女同士で身ぐるみはがし合ったりするが、結局社会ではどの女も下卑た視線を浴びせられ欲望の犠牲になった上に力づくで金もとられ。貧困、暴力、混乱する社会で割を食う弱者。延々とそんな感じで嫌になる。

見ていたら、なんかもう人間は絶滅した方がいいんじゃないか、とか思ってしまいました。ただそれは作り手の本意ではないわけで、溝口監督と言う人は強く真面目な良い人そうだなと思いました。誠実さを感じました。

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